ラッシュライフを時系列順に並べてみる
この作品は
泥棒を仕事としている黒澤
神に憧れる学生の河原崎
不倫相手との結婚を目論む京子
会社をリストラされ、就職先がなかなか見つからない豊田
この4人が様々なところで関わり合いながら、それぞれの物語を紡いでいくストーリーとなっています
それぞれのキャラが個性的で面白く、黒澤part→河原崎partと主人公を変えながら展開されていくため飽きっぽい私でも読むことが出来ました。
⚠️⚠️⚠️以下ネタバレ注意です⚠️⚠️⚠️
この作品は、それぞれの主人公ごとに時系列がバラバラにされて書かれています。
物語Aの次に物語Bが書かれていても、
実際はAの2日後にBが起こっていた
Bの方が先に起こっていた
などといったことが頻発します。
例えば、河原崎、京子、豊田は物語序盤に同じ喫茶店に入るのですが、河原崎は1日目、京子は3日目、豊田は4日目に喫茶店に入っています(豊田だけ期限切れで割引券が使えないなどヒントはあった)
以下に時系列順に起こった出来事をまとめました
⚠️⚠️自分で考えたい方はネタバレ注意⚠️⚠️
1日目
塚本に会い「高橋」についての話や神の解体について聞く
白人女性に好きな日本語を書いてほしいと言われので、好きな言葉として「力」を書く
河原崎:塚本のオープンカーでドライブ
塚本が死んだタヌキを埋める
河原崎が塚本から宝くじを受け取る
河原崎:続塚本とドライブ
夕方に落ち合うことを決めて一旦別れる
河原崎:夕方になる前に父の墓場に向かう
墓場でミケという名の黒猫を見かける
その後塚本と合流し、高橋の死体がある部屋に入り、「神の解体」を始める
河原崎:塚本と会話をしながらバラバラに解体されていく高橋の死体をスケッチする
死体の左足に手術痕を見つけ、この死体は尋ね人のチラシに書かれていた人ではないかと動揺する
河原崎:死体の背中を見ると、高橋にあった火傷跡がなくなっていることに気づき、これは高橋の死体ではなく行方不明の男性の死体であるとわかる
河原崎:とっさに塚本が付けたテレビでは生放送が行われていた。高橋が映っていて、「目を覚ましてほしい。私は生きています」と言う。
塚本はしらを切っていたが、これをきっかけに高橋さんに功績を与えるために、バラバラ殺人事件を行い、河原崎を犯人に仕立てあげようとしていたことを明かす。
思わず河原崎は塚本の首を絞めた
2日目
黒澤:マンションの部屋を出る時に、酔いつぶれた友人を背負った青年(河原崎)と会う
河原崎が落としたくじを拾う
好きな言葉として「夜」を書く
河原崎:部屋を片付ける。
スーツケースに偽高橋のバラバラ死体を入れる。
黒澤にドアを支えてもらい、塚本の死体を背負って部屋を出る
混乱して、気づくと知らない人(佐々岡)に、さっきまでいたマンションの部屋に行ってくれと連呼する(佐々岡は実際は隣の黒澤のいる部屋に行った)
野良犬に首輪をつける。
展望台に行き、エレベーターを待つ
黒澤:若者から昨日の夜見たという高橋率いる宗教団体のニュースを聞く『目を覚ましてほしい。私は生きています』
ミケという名の黒猫が死んでいた。
舟木の家に侵入。20万を盗み書き置きを残して去る
河原崎:スーツケースの捨て場所を探しているところで老夫婦に遭遇、中身を見られてしまう
黒澤:老夫婦に拳銃で脅される
老夫婦から黒澤の前に襲った真っ赤な帽子を被った男(河原崎)がバラバラ死体をバックに入れていた話を聞く
黒澤:空き巣に入った先(実は自室)で旧友の佐々岡と再開する
佐々岡と仕事の話をする
今いる部屋が佐々岡の部屋ではなく、佐々岡も泥棒をしに入ったのだと見抜く
黒澤:佐々岡が戸田のもとで務めていて、独立しようとして失敗したことを話す
佐々岡が妻と離婚したいが出来ないことを話す
黒澤は舟木の家に再び盗みに行くのもいいかと考える
黒澤:黒澤は佐々岡と共に部屋で泥棒活動を再開する。金庫を見つけダイヤルを回す
金庫を開けていると電話がかかってくる。同業者からの電話で、郵便局員になりすまして強盗する計画を話す。
3日目
黒澤:佐々岡が黒澤に妻(京子)の連絡先を教える
佐々岡が妻と離婚することを決意、仙台駅に着いた時に電話で別れ話をする
犬の首輪に宝くじを入れる
佐々岡と展望台に行き、エレベーターを待つ
京子:夫(佐々岡)の離婚話を受け入れる
「心理カウンセラーになりたい」という男(黒澤)から電話を受ける
青山と結婚するため、青山の妻を殺害を実行しようと企てる
青山が好きな言葉として「約束」を書いたことを話す
京子:喫茶店のコーヒーに不満を持つ
好きな言葉として「心」を書く
黒澤から再び電話、番号を知っていることに疑問をもつ(佐々岡が教えた)
拳銃が入っているロッカーの鍵を落とす
河原崎:青山の死体を担いでいたら、死体だけ轢かれてしまう
京子:青山の運転する車が人を轢く(轢いたのは塚本の死体。轢かれる前に死んでいる)
京子:隠蔽するため死体をトランクに入れるが、2度も転がり出てしまう(隠れていた青山の妻が気持ち悪がって外に出していた)
後ろの車の運転手が赤い帽子を被っているのを見かける(河原崎)
河原崎:塚本の死体を回収し、代わりにスーツケースを忘れていった
京子:用を足すために外に出るが、帰ってくるまでの間に死体がバラバラになっていた(潜んでいた青山の妻がスーツケースをあけ、中のバラバラ死体を広げておいた)
京子:青山の妻がいる部屋に着く。バラバラ死体がくっついて動き出す姿(青山の妻)を目撃し、驚愕する
実は青山は青山の妻と京子を殺害するつもりだったことを知り、逃げ出す
4日目
豊田:採用されないことを嘆く
好きな言葉として「無色」を書く
喫茶店に入ろうとするが、半額券が使えないため店を出る
犬の噂を聞く
豊田:犬と鋏を持った女(京子)を見かける。京子を言い負かして犬を連れていく
ロッカーの鍵を拾い拳銃を手に入れる
京子:青山夫婦のことを通報する
鋏で犬をバラバラにしようとした所を豊田に止められる。
展望台から飛び降りようと考えエレベーターを待つ
豊田:郵便局に強盗に入るが、郵便局員が逃げ出してしまう(郵便局員は黒澤の同業者)
金を落としてしまったが、学生とすれ違ったため焦ってそのままにして帰った
豊田:3人の少年たちに襲われる。うち野球帽の若者の顔を殴り、挑発に乗って太ももに弾を撃ってしまう。
その際犬が若者に勇猛果敢に挑んだことに感動する
豊田:井口と再会。会社をみんなクビにされたことを知る。
後輩に電話をかけた。今度飲みに行きましょうと声をかけてもらった。
舟木を撃つことを決意する。
豊田:舟木に空き巣が入っていると連絡する。
死体が千切れてくっつくという女子高生の話を聞く
舟木を追跡して撃とうとすると、泥棒(黒澤)が出てきて失敗したと嘆いて帰っていった
舟木を撃とうとしたが、泥棒に慌てふためく舟木の姿を見て撃つ気をなくした
豊田:若者たちから復讐される。逃げている間に見知らぬ青年(河原崎)に会い、車に乗せてもらう。青年は塚本さんと共に岩手山を見に行き、父に会いにいく(自殺する?)ことを伝える
豊田:戸田に仕事をあげるから犬をくれと言われるが断る。何でも手に入ると思っていた戸田は動揺する。
白人女性を呼び止め、好きな言葉として「イッツオールライト」を書く
展望台に行き、エレベーターを待つ
まとめてみてすごいと思ったのが、
日付ごとに主役となる人物がいて、リレーでバトンを繋ぐように一日一日が繋がっていくことです。
自分の何ともない日常の裏で、誰かが人生の分岐点を迎えているかもしれないと思うと人生って面白いなあと思いました。
この小説は豊田が特別な一日を迎えて終わりますが、次にはまだ見ぬ誰かにバトンが渡り、どんどん繋がっていくはずです。
長くなりましたが、ここまで読んで頂きありがとうございました!